2010/01/26 手術と外来・医局を行ったり来たり [平日]

6:45 回診開始、まずはDr.許と専科看護師の3人で回っておく。昨日手術が11件もあったのだが、特に大きな変わりはない。術後の疼痛に関してはPCAポンプを使用したり、その他の工夫もあるようで強い痛みを感じている症例は殆どみられない。脊椎症例に関しては、手術時間が短いということが創部痛の軽減に役立っているような気もする。脊椎手術の場合、筋肉を強くretractして展開するわけだから、圧迫による筋肉のダメージというのは無視できないような気がする。筋逸脱酵素のCPKが1つのメルクマールかも知れないが、それで何らかのsudyが出来ないものだろうか?当然、条件を揃える必要があるだろうが。手術時間が短ければCPKの上昇も緩やかで術後疼痛も感じにくい。疼痛に関してはPCAを使っているから難しいか?また、5歳のOBPIの術後(
6日目)も順調だ。包交も慣れてきたようである。両親の顔つき・肌の色を見ていると、どうやらこの家族は高山族の人達のようだ。坊やはお母さんにそっくりだ。高山族の人達は、教授曰く、純粋で付き合いやすいのだそうだ。あまり垢ぬけていないということなのだろうか?ど田舎のいい人たちという感覚なのだろうか?
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7:15 ナースステーションに旅行用のトランクが置いてあった。何かと思い良く見てみると、緊急時に備えてのグッズが中に詰まっているのだ。これは良いアイディアだと感心した。
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7:20 今日は朝のカンファレンスがある。担当は、Reserch cheafのDr.Hisaoである。最近の研究成果についての内容だった。面白いかったのは、sliding hip screwのラグスクリューに人工骨を注入する手技において、時に関節内や骨折部からleakしてしまうことがあるということで、新たなholeから別に人工骨を注入するという方法だ。この力学的特徴などを解析していた。強度的には注入しないよりも上昇するとのこと。デバイスは工夫していたが、少し手技が煩雑となる気がしてしまう。他には、上腕骨近位端骨折のロッキングプレート固定において、スクリューを入れる位置により、強度が異なるかという実験も紹介していた。近位側のスクリューをone corticalのみたくさん刺入するか、one cortical 2本、two cortical 2本とするか(プレート設置は遠位になってしまう)によって、強度に変わりがあるのか?という内容だったと思うが、聞き逃してしまった。漢語のプレゼンはやはりきつい。。。
8:30 医局で作業を開始。今日の手術の予定を確認する。Dr.馬の外傷症例が並んでいる。かなり多いので大変そうだ。暫くしてから見学しに行くことにしよう。
9:00 13歳の下腿GustiloⅢB開放骨折後の症例で、軟部組織欠損に対しては、ALTのfree flapが行われていた。ロッキングプレートによる創外固定が皮膚上に設置されているのだが、軟部組織とプレートの間隙が少なくなり、圧迫されてきているようで、今回はこれを抜去して、髄内釘(TEN)に入れ替える。また骨折部は癒合がもう少しなようで、加えて人工骨を植骨すると言っている。見事にALTでsoft tissue coveringできており素晴らしいのだが、この処置まで本当に必要だったかは疑問が残る。通常の創外固定で骨癒合まで粘るか、初期から髄内釘を入れてしまっていた方が良かったのでは?しかし、このelastic髄内釘(TEN)はなかなか面白い素材であると思った。
10:40 Tibiaのopen fractureに対する創外固定後(受傷より3週程度経過)、プレート固定に入れ替える予定。若干の外反変形矯正と脛骨近位内側より採骨を行い骨折部に骨移植も行うプランだとのこと。こちらのDr.は慣れているのだろうが、術前計画を作図したりする習慣は全くない。経験と勘が頼りのようである。やはり整復・矯正は甘いと思われる。手技的にはMIPOで行い、慣れていて洗練されてはいるが、これくらいでいいだろうという感じの許容範囲が我々よりも甘いような気がする。最終的な結果にどう影響するかどうかは不明であろう。
12:00 医局に戻って昼食とする。今日はCrystalが弁当を準備しておいてくれると言っていたので手術場からまた出てきた。reserch組のDrたちと秘書さんたちとテーブルで一緒に弁当を頬張る、会話は漢語(7割)、英語(2.5割)日本語(0.5割)と言った所だろうか?ライブで会話を聞いているのも何となく会話の雰囲気をつかむには良いことかも知れない。
13:00 再び手術室に戻る。Dr.馬がDr.呂と(今日はこの2人がコンビのようだ)、人工骨頭置換術(股)を行っていた。やはりアプローチは前方からだった。見易いが、後方よりもアシストが余計にいるように思われる。
13:40 Floraから携帯に連絡が入った。教授が外来に呼んでくれているようだ。3歳時に行った、先天性のcleft hand(母指欠損)に対する、toe transfer(第2趾)の女の子だ。以前、教授の部屋でビデオを見せてもらった症例だ。バイオリンを持参している。今からレントゲンを撮って、病棟でバイオリンを弾いてくれるそうだ。病棟の専任看護師について行く。彼女のお父さんも一緒である。今日ははるばる台北からやって来ている。お父さんは何度も日本に行ったことがあるようで、少し日本語が解る。示指から小指までの4本しかなかった指が、自分の足趾を採取して再接着して見事に機能している。整容的にはどうしても元通りとまではいかないが、機能的には満足していると思われる。ビデオ撮影を行い、外来に戻る(外来でバイオリンを弾いたらウルサイからわざわざ移動したのだろう)。
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教授の外来について、色々と説明を受ける。日本でもこの手の手術が以前は行われていたが、最近は殆ど見る機会もなくなってしまった。症例自体が減っているのと、限られた施設でしか行っていないからだ。今度行く病院では、この手の手術も比較的多いようなので期待している。
14:50 再び手術室へ(今日は着替えが多い・・)。Dr.馬が尺骨短縮術を行っていた。Xpを見ると確かにプラスバリアントではあるが、健側Xpもないし、評価方法が不明だ。カンファがないだけに手術決定権はスタッフドクターの権利であり、それはそのまま自分の責任でもある。手術決定までに至るプロセスが独りよがり的になってしまうきらいにないか?と思ったりする。手技的にはしっかりコンプレッションがかかるように操作を加えていたが、何ミリ骨切除をするのか?という微細な部分はやはり経験だけのような気がする。あまりに短くし過ぎると、DRUJの不適合、更には長期経過後にOAへと進行してしまう可能性があるだけに結果が気になる。詳細な評価がなされていないのが残念だ。
15:40 医局に戻る。昨日の日記や今日の出来事をまとめておかねばならないので少しずつ空いた時間に仕上げていく。加えて、金曜日のプレゼンの準備(スライドはほぼ完成、言う内容を検討しないといけない。今回は台本なしで行う予定)をしなければならないのだ。ちょっと忙しくなってきた。
17:20 手術室に様子を見に行ってみる。Dr.馬の手術はまだあるようだが、ちょうど入れ替え時のため、ソファ室でボーっと過ごす。
18:00 することもないので、今日はもう引き上げよう。Dr.馬とDr.呉が休憩室でPCを見ながら何かしている。今日は申し訳ないが先に帰らせてもらいますと言って別れる。
18:30 医局にいると、外来から連絡があり、渡したいものがあるとか言われたので向かう。すると、また例の如く食べ物のおすそわけであった。台湾独特のハンバーガー?、カラスミ(焼いたもの)、フルーツとあった。また今日も夕食を買わずに済みそうである。
19:00 フードコートでジュースだけ購入し、部屋に戻ることにしよう。しかし、また教授は外来をしている。すみませんが先に帰りました。。。
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