2010/01/21 教授が台北に出張なのでゆっくりと過ごした一日 [平日]

7:00 回診開始。昨日のOBPIの男の子の状態が気になるところだ。一番最後に包交をすることになっていた。他はいつも通り殆ど変るがない。慢性コンパートメント症候群の筋膜切開をした若いアスリートの女性は今日退院となる。自分も片側の外側の切開もしていただけに調子が良さそうでホッとする。気付いたのだが、こちらのCRPの値が日本のそれより高い値で出ている。正常値が3-4だとのことだ。Scaleが違うのだろう。THA後のinfectonのおばあちゃんも比較的長く入院(それでも2週間)していたが、CRP3となり、本日退院だそうだ。元気そうで良かった。少し元気がないと言えば、もともと全身の栄養状態の悪い膝~下腿にかけての壊死性筋膜炎患者に対して施行した筋皮弁(Gastrocunemuus muscle flap)術後のおじさんの胸部Xpを見ると右が真っ白になっている。肺水腫を併発しているようだ。アルブミンが低いこともあるだろう。こういう患者に対しても教授が指示を出している。
7:40 最後に子供の包交を行う。がまん強く泣くのをこらえている。創部はガーゼ汚染も殆どなく綺麗だ。ほっとする。自分が入って感染や血管トラブルでも起きたらシャレにならないから。。。
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マイクロ後の包交はレジデントなどには任せずに、必ず自分で行っている。これは術者としては当然の行動とも思われる。この姿勢は見習いたい。
8:00 今日の手術予定を見に手術室入口に向かう。それ程多くの症例はなさそうだ。いったん医局に戻って、昨日の日記(付け忘れていた)でもつけることにしよう。
8:50 教授が台北に向けて出発していった。新幹線で少し休めるから良いだろう(移動が結構良い休憩になっているものとも思われる)。持ち物はUSBスティックだけという身軽さだ。
10:30 少し手術室の状態が気になり、覗きにいく。脊椎の後方固定、膝蓋骨骨折ORIF、転位のない脛骨プラトー骨折ORIF、前腕両骨骨折術後の抜釘などが行われている。抜釘の部屋はレジデントのDr.温が閉創しており、チーフレジデントのDr.許が外で監修していた。ここはDr.高の裏の列のようだ。こうしてチーフレジデントは上手く使われているようである。もう終わりのこともあり、外周りの看護師や麻酔看護師(こちらでは麻酔の専門看護師がいる。結構彼女らがたくさんいて麻酔の補助をしているので一度に多くの麻酔をかけることができるのだ)とDr.許がパソコンを見ながら何やら談笑している。ワイヤレスでインターネットもつながるようで、今度買うPCやIPodなどをネットショッピングのページで見たりして楽しんでいる。Dr.Tuがいたらこんなことは出来ないだろうが、ちょっと羽を伸ばしている感じもする。
11:20 朝方、他の科のカンファで余った朝食を秘書さんがくれたので、少し早いがそれを手術室休憩室で食べることにした。こうしていろいろもらったりするので、あまり自分では買わなくても済んでしまうのだ。Dr.許も早めの昼食をとる所だというので一緒に食べる。彼はうちと同じような感じで、2007年に結婚し、今年の5月頃に初めての赤ちゃんが出来るとのことである。なかなかの愛妻家のようだ。今日は彼もDr.Tuがいないので少しゆっくり目に過ごしている。
12:00 いったん医局に帰る。午後からの手術にも顔を出そうと思っているが、Op室にPCを持参することにしていた。日本の音楽を聞きたがっていたのでUSBに落としてあげようと思っているのだ。日本語勉強熱は相変わらず目を見張るものがある。
13:30 手術室でDr.許に日本語の曲入りのUSBを渡す。早速聞き始めている。ドリカムやキロロを知っている。麻酔看護師(アラフォー?)が寄って来て、徳永英明が好きだとか言って興奮している。仕方ないので、彼女にもUSBであげた。今は抜釘の手術中なのにも関わらず、外回りではわいわいやっているのだ。可哀そうにレジデントのDr.温が一人で寂しそうに閉創していた。
14:50 PCL avulsion fractureのORIFが始まる。Dr.高の2列のうちの一つの手術なので、Dr.許が執刀するようだ。日本でなら(というか一般的には)保存的治療を選択すると思われるような殆ど転位のないタイプである。やる先生は小皮切で行ったりもしている。しかしオーソドックスに大きく展開して固定するようだ。いくら数をこなしているレジデントとは言え、ここはあまり慣れていないようだ。展開がやや近位過ぎるかなと思って外から見ていたが、やはり骨折部が解らず苦労していた。イメージが置いてあるのになかなか確認しようとしないのが不思議だったが、ここのやり方なのであまり口を挟まず、ふらふらしながら時折みていた。ようやくイメージを見ようということになったら、上級医のDr.高が様子を見にやって来て、何やってんだ?みたいな感じで何やら言っている。イメージ何か見ずにやれ!ということなのだろうか?イメージを下げさせて、自分が手洗いして入って来た。暫く、様子を見守っていたが、なかなか上手いところに到達しないようで、結局イメージをみていた(それでも位置が近位過ぎだったりしている)。せっかくあるのだから、はじめにチラッとでも見て確認してから行った方が結局は早いと思うのだが、私だけ?
15:30 本日の急患手術の脛骨・腓骨遠位開放骨折(GustiloⅢA)+橈骨遠位端骨折の症例が始まろうとしていた。Dr.葉とレジデントのDr.呂でするようだ。橈骨遠位端は例の如く掌側のT型バットレスプレートを用いている。Mr.シーと2人で手早く仕上げていた。この先生は見ていると、どうもせかせかした感じだ。何となく不潔っぽい(この不潔っぽいという印象があまり良くないのである。実際は不潔になっていないのかも知れないけど、周りにそう思わせるような雰囲気・行動というのは良い印象を与えない)。確かに早いのかも知れないが、どうも早さを追及しているような感じ。慣れてはいるのだろうが。。。その間に、Dr.呂がもくもくと下腿の開放創を洗浄している。橈骨側が終わると、閉創はMr.シーに任せて、下腿の処置の方に参加してくる。創外固定を立てる訳だが、近位は脛骨前面中央にハーフピンを2本、足部は踵にトランスピンを2本、中足骨にハーフピンを1本というオーソドックスな感じで固定していた。リングの組み立ては、Mr.シーが詳しく、Dr.呂を指導していたりする。本当に頼りがいのあるテクニシャンだ。
17:00 この後にもう1例、急患手術が入っているようだ。少し休憩した後、再びやってくることとする。休憩所にはスーダンからのfellow Dr.Salimが巨体を横たわらせてソファにいる。今日は朝から長い手術があって、疲れているのだとのこと。2人して少しソファでうとうとしていた。
18:00 Tibia plateau関節内骨折の緊急手術が始まろうとしていた。Dr.葉が今日の担当のようだ。助手には遅れて、Dr.温がやってくる。関節面の整復・固定だけ本日行い、創外固定を立てておく計画のようだ。手荒い感じだが、陥没した骨片を骨折部からエレバのようなものを突っ込み押し上げておおよそ良好な整復位に持っていった。外側からCCSを2本入れて固定した。その後は創外固定をtransarticularに設置するようだが、形成外科の手術が何やらまだ残っているということだったので(Dr.Salim情報)そちらの方に出向くことにする。
18:40 実はDr. salimが先ほど休憩室でメッカの方向に向かってお祈りをしていたのは知っていたのだが、黙って出てきた。そう彼は敬虔なイスラム教徒なのである。スーダンの医療事情やら給料やら、スーダンに来たら何でも間違いなく経験出来るよ(何しろマイクロが出来る医者は2人しかいないとのこと)とのことなどを聞かされる。さすがにそれは・・・。
19:00 こんな時間から口腔癌の摘出術後の再建手術が始まる。耳鼻科で摘出を行った後の再建のようだが、準備までにかなり時間が空いたようだ。Dr.Salimとスタッフの一人がするようだ。形成のFellowである彼は、結構いろいろとさせてもらっているようだ。Dr.Tuの場合、一緒に手術に入って詳細に教えてはくれるが、全て自分でするため執刀をする機会は殆どない。たまに試しにさせてくれる程度だ(要は時間がないのである・・・)。形成外科はマイクロの症例は豊富だが、整形外科のマイクロとはまた違う。こちらのやり方もたまには見て置くのも良い勉強になるだろうと思い、志願して見学させてもらう。ちょうど、形成外科のボス(ここの院長:かなり腰が低いんですけど)が見回りに来ていたので、挨拶して了承を得ておいた。勝手に形成外科の手術とかまで見ていたら、それぞれのボス達が面白くはないだろうから(Dr.Tuには形成外科の手術でも見たいのがあれば見てもいいと既に言われている)。再建は前腕掌側遠位からのradial forearm flapである。基礎的なfree flapであるので勉強しておこうと思った。橈骨動脈を犠牲にしてしまうが比較的有用な皮弁と思われる。橈骨動脈から出ている細かい分岐にだけ気を付ければそれ程難しい皮弁ではないと思う。血管茎も太いし意外と初心者向けなのかも知れない。
20:00 だいたいharvestingが終了した感じで手術室を後にする。地下のフードコートも閉まってしまうので。どうも、骨科の方でももう一例急患手術が入っていたようだった。こちらは特に顔を出さずに帰ることにした。
20:20 地下のフードコートはたいがい閉まってしまっていたが、3つだけ(1つはジュース屋)まだ営業していた。今日はまだ残っているメニューで頼むしかなかった。肉ソボロ飯的な感じと冬瓜とチキンのスープにした。
20:40 帰り際に教授にばったり会った。今台北から戻ってきたのだという。今からまた病院で仕事をしてから帰るのだろう。本当にお疲れ様です。
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