2010/03/10 ラストが近づいてきた感じがする。。。 [平日]

7:10 今日は教授が少し遅れてやって来た。回診が始まる。昨日数えてみると回診だけでもう50回程度回っていることになる。しかし患者の入れ替わりが早いので相当数の患者・家族の顔を見て来たと思う。また今日も手術が13件予定されている。今日は何故か3つの部屋を使って手術することになっている。また忙しそうな予感がする。
8:00 手術室で朝食をとる。このスタイルも今では違和感なく受け入れられるようになっている。
8:30 朝からトラブル発生だ。教授の部屋の1つRoom7の入口で比較的大量の水漏れが発生していた。入り口はてんやわんやになっている。今日1日その部屋は使えないことになってしまった。そうなるとさあ大変だ。教授の機嫌が一気に最悪モードになってしまった。目いっぱい手術を入れているのだから。。。手術室の看護師長らしき人もその対応にかなり困っているようだ。そうは言っても他の手術はもう準備されつつあるので、出来る範囲で始めていかねばならない。Room12では足部の疼痛に対する舟状骨(有痛性外脛骨)の切除+腱鞘切開・形成、dennervationであった。準備してスタンバッている手術室に、明らかに機嫌の悪くなった教授が入ってきた。一同びくびくしているのが見て取れる。自分も当然言葉はかけ辛い。外からの見学にした。しかし、そんな状況でもしっかりと自分に対しては、手術のコンセプトの説明や解剖について細かく教えてくれるのは偉いと思う。他のスタッフも私がいて緩衝剤になってくれていて助かっていたかも知れない。所見は、後脛骨筋腱が明らかに舟状骨付着部で膨隆し非常にtightになっていたのに加え、近くを走行する皮神経が刺激を受けているようだった。この膨隆と皮神経を切除して後、核出するように温存した後脛骨筋腱を再縫合して終了となった。時間としては30分もかかっていなかったかも知れないが、いつもより時間が長く感じたのは教授のtemperのせいだろう。
10:00 Room3で脊椎後方固定、Room12でrevision THAが始まる。今の教授の気分を考えて、Dr.許が行うTHAの方にいることにした。展開と抜去の途中まで見学しソファで休むことにする。このTHAの症例も人工骨頭置換を8ヵ月前に受けたばかりなのだが、疼痛があるのでTHAにしてしまうのだそうだ。展開を理解したし、適応に疑問があるのでそれ以上細かく見なかった。
12:20 朝食で皮蛋などを食べたせいもあり、あまりお腹が空かない。昼は抜くことにする(おそらくコーヒーブレイクで菓子パンが出るだろうから)。Dr.Salimにすれ違い、今から形成外科で下腿の潰瘍性軟部組織欠損のfree flapの手術が始まると教えてもらったので一緒に向かってみる。下腿遠位1/3部に卵大の皮膚歇損と周囲皮膚組織の変色を伴った症例が準備されていた。デブリドマンを行ってレシピエント血管を同定した後、ALT flapでカバーする予定だそうだ。しかしALT flapの症例がやたらと多い。これだけ毎日のようにあれば看護師もルーチン手術だと思っているだろう。始めに下腿の展開から始まってしまったので面白くなかった。Dr.Salimがしていたが、解剖に関しての理解はもう少しなのか?(外野からは適当なことが言えるかも知れないけど・・・)とか思う。少し見ては他の部屋を見たりと落ち着きなく過ごした。
13:20 Room25(Room7が使えなくなった代わり)で、肘部管症候群の筋層 下前方移行術が始まる。教授の機嫌も午後になり少しは落ち着いているようだったが、やはりいつもとは違った。前回も見た手技だったが、今日は少し筋層 下の移行と皮弁での神経の保護・固定にアレンジを加えていた。前方に移行した尺骨神経が脱臼しないよう、軟部組織でカバーする際に、その組織をZ plasty様に細工してlooseにカバーするやり方を示してくれた。今日のような症例には有用な手技と思われた。まだ教授の調子が悪く、看護師たちもピリピリしている。教授が手を下ろして、部屋の外に出て行くや一同が安堵の表情を浮かべるのを見ると、相当緊張していたんだろうなと改めて解った。ちょっと気の緩んだ看護師たちを撮影。
IMG_5143.jpgIMG_5147.jpg 14:30 Room3で教授自らがTKAをする。外から見学した。手技はルーチンでためらいなく30分で手を下してしまった。これくらいの手術時間だと外からの見学も苦にならない。 15:05 コーヒータイムになり、教授がいつもの調子に戻ってきた。みんなで記念撮影したりしてほのぼのと過ごすことができる。やはりリラックスすることは重要であると思うのであった。。 15:20 再びRoom25に戻り、BPIのneurotizationになる。この症例は全型BPIでthree nerveの移行を予定していたが、最近2度目の交通事故(片手が全く動かないのにまたバイクに乗って事故した!)をしてしまい、教授が急遽術式を変更した症例だ。おそらく知的レベルが低いのだろうということで、今回はSA→SSP 1か所のneurotizationだけを行うのだそうだ。賢い選択かも知れない。熱心に解剖をメモする看護師さんに感心。 IMG_4355.jpg 15:40 SA(副神経)の同定に若干手間取るも、手早くそれぞれの神経を露出・同定させる。腕神経叢の位置はomohyoidがメルクマールになるので解り易いが、SA神経の位置は少し深いので解りづらく経験が必要と思われる。通常は電気刺激を与えて筋肉の収縮を見ながら展開を進めていくのであるが、それでもある程度のランドマークは必要である。神経の近くには脂肪組織が存在していること、たいがい静脈の近くに位置すること、知覚神経・運動神経があることなどを解説してくれる。本日の症例は僧帽筋に向かう分枝が二つに分かれていることを確認する。両方を電気刺激してみてどちらも反応があることを確認(神経縫合に必要な長さ分を得るために長い方の枝をcut、もう1つの分枝は温存できた:こちらの方が収縮の力は強かった)。従って、hyper selectiveなneurotizationを行った訳である。すなわち、副神経の機能を半分温存できつつ、Ssp(肩甲上神経)へ移行できたことになるのだ。術後の肩関節機能の回復がより増強出来得ることを示唆する。この手技はテクニカルデマンドであり、多くの症例を経験しなければなし得ない技であると考えられる。教授がDr.Zenkeも日本に帰ったらBPIのspecialistになれるだろうと言うのだが、本人は殆どその気がない。日本ではこのような症例に殆どお目にかかれないからだ。 16:00 最後にこの部屋でも手術に入ったメンバー達で記念撮影をした。機嫌の良くなっている教授はRoom3で準備されているTKAと颯爽と向かっていった。 IMG_5141.jpg 16:40 このTKAも35分程度でもう手を下してしまっていた。自分は時折、形成外科の進行具合を見に行ったりしていたので全ては見学していない。流れはだいたい理解できたし。 IMG_5154.jpg 17:30 少し時間が空いて、本日最後の大腿部脚延長後の骨移植+プレート固定が予定されている。3cm程度の脚延長を片側型(AO創外固定)で行い(1mm/日で延長)、Xp上何となく化骨様陰影が見えてきたかなという症例だ。手術は、左下側臥位で大腿部をばっさり外側から展開して仮骨延長部を露出(骨膜を覆うsoft calsが見られgapはなく連続していた)する。片側しか骨膜を展開しないのがポイントである。血流を温存させるため。Soft calsを切開すると、内部はまだ空洞になっていた(延長のスピードが速すぎなのでは?と疑問にも思った)。ここには海綿骨+人工骨を充填するそうだ。同側の腸骨からは前医の手術で既に採骨されてしまっているため、大腿骨転子部から採取することになった。同体位で簡単に取れるからだろうが、骨の量や術後の骨折の危険性に多少の不安は否めない。腸骨後方からという手もあったかも知れないがドレーピング的には採取し辛いだろう。同部より骨髄液も採取し一緒にまぶして移植骨の完成だ。切開したSoft cals部分から内部に充填していく。量的にはちょうど良かった感じ。 18:10 後はconventional plateを2枚あてて(近位・遠位3穴ずつ:径12本のscrewで24 cortexで固定)非常にrigitとなった。Plating techniqueはscrew sizingも含めて非常にspeedyだった。当然気動式ドリルを使用する。 18:40 長く多少気が重かった一日も最後は良い雰囲気で終了した。この部屋でも記念撮影を行っておいた。まだ土曜日に最後の手術があるのだが、金曜の朝のプレゼンで何枚か使いたかったのだ。しかし、そんな雰囲気を一気に壊す情報が、Mrs.ティンから寄せられる。どうやらここのレジデントがドミトリーから飛び降りしてしまったとのことである。。。何となく周りがそわそわしていた。教授も電話口で急に大声をあげていた。顔は知らないけど、レジデントって限られるから、会ったことがあったのかも知れないと思う。台湾でも日本と同じようなことがあるんだなと改めて思ってしまう。 19:00 レジデントへの帰り道は、いつもと違って警備員が多く、テレビ局の車まで止まっている。何となくまだ騒がしい感じだ。立ち入り禁止地区を見ると、自分のドミトリーと同じ側のベランダから落ちたようである。。。。確かに11階のベランダから下を見ると、落ちたら怖いな~とか思っていたから。。。。ちょっと哀しくなり部屋で休んだのだった。
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